2026年7月30日
大腸がんは日本人にとって非常に身近な病気であり、近年、罹患数が増加傾向にあることをご存知でしょうか。国立がん研究センターの統計によれば、大腸がんは日本人が罹患するがんの中でも上位を占め、男女合わせた罹患数では第1位となっています。しかし、大腸がんは早期に発見できれば治療の選択肢が広がり、内視鏡治療だけで完治が期待できる場合も少なくありません。福岡市早良区西新にございます当院では、消化器内科を専門とする医師として、大腸がん検診の重要性を皆様にお伝えしたいと考えております。この記事では、便潜血検査と大腸カメラ検査それぞれの特徴や重要性、検査の流れについて詳しく解説いたします。
大腸がんとはどのような病気か
大腸がんは、大腸の粘膜にできる悪性腫瘍です。多くの場合、大腸ポリープと呼ばれる良性の腺腫が長い年月をかけてがん化することで発生すると考えられています。大腸は結腸と直腸に分けられ、どちらの部位にもがんが発生する可能性があります。初期段階では自覚症状がほとんどないことが大きな特徴であり、症状が現れたときにはすでに進行しているケースも少なくありません。
大腸がんが進行すると、血便、下血、便通異常(便秘や下痢の繰り返し)、腹痛、貧血、体重減少などの症状が現れることがあります。しかし、これらの症状は痔や過敏性腸症候群など他の疾患でも見られるため、症状だけで大腸がんを見分けることは困難です。だからこそ、症状がない段階から定期的に検診を受けることが極めて重要になります。
大腸がん検診の重要性
大腸がんは、早期に発見し治療を行うことで、高い確率で治癒が期待できるがんの一つです。国立がん研究センターのデータによると、早期の大腸がん(ステージ0〜1)で発見された場合の5年生存率は非常に高く、進行してから発見された場合と比べて予後に大きな差が生じます。特に大腸の粘膜内にとどまるがんや、粘膜下層にわずかに浸潤したがんであれば、開腹手術を行わずに内視鏡による治療で完治が見込めることもあります。
一方で、進行してから発見された場合には、手術に加えて抗がん剤治療や放射線治療が必要となることもあり、身体的・経済的な負担が大きくなります。このような理由から、厚生労働省も40歳以上の方を対象に、年1回の大腸がん検診(便潜血検査)を推奨しています。症状がないからといって検診を先延ばしにせず、定期的に受けていただくことが、ご自身の健康を守る上で非常に大切です。
便潜血検査とは
便潜血検査は、便の中に含まれる微量の血液を検出する検査です。大腸ポリープやがんがあると、便が通過する際に病変の表面から出血し、それが便に混入することがあります。便潜血検査は、この目に見えない血液を化学的に検出することで、大腸に病変がある可能性を調べる検査です。
一般的には2日分の便を採取する「2日法」が用いられており、自宅で採便を行い医療機関に提出するだけで済むため、身体的な負担がほとんどないことが大きな利点です。ただし、便潜血検査はあくまで「大腸に出血を伴う病変がある可能性」を調べるスクリーニング検査であり、大腸がんそのものを直接診断する検査ではありません。そのため、検査結果が陽性(要精密検査)と判定された場合には、必ず大腸カメラ検査による精密検査を受けていただく必要があります。
また、便潜血検査が陰性であっても、必ずしも大腸に病変が全くないことを保証するものではない点にも注意が必要です。ポリープやがんが出血を伴わない時期には、便潜血検査で陰性となることがあります。そのため、症状がある場合や、ご家族に大腸がんの既往がある方などは、便潜血検査の結果にかかわらず大腸カメラ検査を検討することをおすすめします。
大腸カメラ検査とは
大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)は、肛門から内視鏡を挿入し、直腸から盲腸までの大腸全体の粘膜を直接観察する検査です。便潜血検査とは異なり、大腸の内部を医師の目で直接確認できるため、小さなポリープやごく早期のがんも発見することが可能です。さらに、検査中にポリープが見つかった場合には、その場で切除することができる場合もあり、大腸がんの予防にも直結する検査といえます。
大腸カメラ検査と聞くと、「痛そう」「恥ずかしい」「準備が大変」といったイメージから、受診をためらう方も少なくありません。しかし、近年は検査技術や機器の進歩により、以前と比べて格段に苦痛の少ない検査が可能になっています。当院では、鎮静剤(麻酔)を使用した検査を行っており、うとうとと眠っている間に検査が終わるよう配慮しておりますので、内視鏡検査に不安をお持ちの方も安心してご相談いただければと思います。
大腸カメラ検査の流れ
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検査前日から消化の良い食事を心がけていただきます
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検査当日は腸管洗浄剤を服用し、腸内をきれいにします
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ご希望に応じて鎮静剤を使用し、リラックスした状態で検査を行います
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内視鏡でポリープなどの病変が見つかった場合は、その場で切除が可能なこともあります
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検査後はしばらく院内で休んでいただき、体調を確認してからご帰宅いただきます
便潜血検査と大腸カメラ検査、どちらを受けるべきか
便潜血検査と大腸カメラ検査は、それぞれ役割が異なります。便潜血検査は身体的負担が少なく、まずは広く多くの方に受けていただくスクリーニング検査として適しています。一方、大腸カメラ検査は、大腸の状態を直接確認し、ポリープの切除まで行える精密検査です。
理想的には、40歳を過ぎたら年に1回の便潜血検査を継続し、結果が陽性であった場合には速やかに大腸カメラ検査を受けていただくことが基本的な流れとなります。ただし、以下のような方は便潜血検査の結果を待たずに、大腸カメラ検査を直接受けることをおすすめします。
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血便や下血の症状がある方
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便通の変化(便秘や下痢の繰り返し)が続いている方
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ご家族に大腸がんや大腸ポリープの既往がある方
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過去に大腸ポリープを指摘されたことがある方
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原因不明の貧血や体重減少がある方
症状が続く場合には自己判断せず、早めに消化器内科を受診し、医師にご相談ください。
大腸ポリープと大腸がんの関係
大腸がんの多くは、大腸ポリープの一種である腺腫という良性の病変から発生すると考えられています。腺腫は数年から10年以上という長い時間をかけて徐々に大きくなり、その一部ががん化していきます。この「腺腫からがんへ」という進行過程が比較的緩やかであることが、大腸がんが検診によって予防しやすいがんであるとされる理由の一つです。
大腸カメラ検査によって腺腫の段階でポリープを発見し切除することができれば、将来的にがん化するリスクそのものを取り除くことができます。これは単なる早期発見にとどまらず、がんの発生を未然に防ぐという、検診の非常に大きな意義を示しています。
年代別に見る検診の目安
大腸がんは40歳頃から罹患率が上昇し始め、年齢が上がるにつれてリスクも高まる傾向があります。そのため、40歳を迎えたら特に症状がなくても便潜血検査を毎年受けていただくことが推奨されています。50歳前後を目安に、一度は大腸カメラ検査を受けておくことも重要です。特にポリープの既往やご家族の病歴がある方は、より若い年代からの検査開始を検討する価値があります。
検査の間隔については、前回の検査結果(ポリープの有無や個数、大きさなど)によって異なりますので、検査を受けた医療機関で医師と相談しながら、次回の検査時期を決めていくことが望ましいでしょう。
検査を受ける際の不安を解消するために
多くの方が大腸カメラ検査に対して不安を抱く理由として、検査中の痛みや、下剤による前処置の大変さ、検査結果への不安などが挙げられます。当院では、患者様一人ひとりの体調やご希望に応じて鎮静剤の使用を調整し、できる限り苦痛の少ない検査を心がけております。また、検査前後の説明も丁寧に行い、疑問や不安な点があれば遠慮なくお尋ねいただける環境づくりを大切にしています。
私は九州大学医学部を卒業後、米国国立衛生研究所への留学、九州大学病院や地域の医療機関での勤務を経て、消化器内科領域、特に胃カメラ・大腸カメラ検査を専門的に行ってまいりました。これまでの経験を活かし、専門性の高い診療から日常的な内科診療まで、幅広く患者様に寄り添った医療を提供したいと考えております。
福岡市早良区西新で大腸がん検診をご検討の方へ
当院は福岡市営地下鉄「西新駅」1番・3番出口から徒歩2分という、通いやすい立地にございます。お仕事や家事でお忙しい方にも受診いただきやすいよう、土日も診療を行っております。「便潜血検査で陽性の結果が出たがどうすればよいかわからない」「そろそろ年齢的に大腸カメラを受けておきたい」「血便が気になるが何科を受診すればよいかわからない」といったお悩みがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
大腸がんは、決して他人事ではなく、誰にでも起こりうる身近な病気です。しかし、正しい知識を持ち、定期的な検診を受けることで、早期発見・早期治療につなげることができる病気でもあります。ご自身とご家族の健康を守るためにも、まずは便潜血検査から、そして必要に応じて大腸カメラ検査へと、一歩を踏み出していただければと思います。私たちは、消化管領域の専門性を活かしながら、皆様が安心して検査を受けられるよう、これからも真摯に診療にあたってまいります。
よくある質問
Q. 便潜血検査で陽性でしたが必ず大腸がんということですか?
便潜血検査が陽性でも、大腸がんと確定するわけではありません。痔や大腸ポリープなど他の原因でも陽性になることがありますが、大腸がんの可能性を否定するためにも大腸カメラ検査による精密検査が必要です。
Q. 大腸カメラ検査は痛いですか?
個人差はありますが、鎮静剤を使用することでうとうとと眠った状態で検査を受けることができ、苦痛を軽減することが可能です。不安がある方は事前に医師に相談することをおすすめします。
Q. 何歳から大腸がん検診を受けるべきですか?
一般的には40歳を目安に、年1回の便潜血検査を開始することが推奨されています。ご家族に大腸がんの既往がある場合は、より早い年齢からの検査開始を検討する価値があります。
Q. 大腸カメラ検査でポリープが見つかったらどうなりますか?
ポリープの種類や大きさによっては、検査中にその場で切除できる場合があります。切除できない場合や慎重な判断が必要な場合は、後日改めて処置を行うこともあります。
Q. 血便がありますが痔だと思って様子を見ても大丈夫ですか?
血便は痔だけでなく大腸がんなど他の疾患でも見られる症状のため、自己判断は避けるべきです。症状が続く場合は早めに消化器内科を受診し、医師にご相談ください。
記事監修者